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遠野馬物語り

遠野の乗用馬生産


 2006年8月10日、高知から飛行機で花巻へ。盛岡で一泊して8月11日、せっかく岩手県に来たので午前中は平泉の中尊寺を見学し、その後、この旅の目的地、遠野に向かいました。
 岩手県は南部駒の名で昔から馬の生産が盛んな土地です。はじめは農業や商業輸送のため、家族同様に「曲がり屋」で馬を飼っていたのですが、幕末、維新後には軍用馬の馬産が主になってきたようです。詳しくは「馬の里」HP「岩手の大地・森・海」の「大地」を参照下さい。
 私の友人も現在はその一部を担ってがんばっています。今日は40年ぶりにその顔を拝んで来ました。


 荷沢峠に近づくと、両側の山に見事な赤松林のある山が迫ってきます。


この厩舎で出産から1年半育てて一人前にしていくのです。
彼は曲がり屋によく似た、厩舎とつながった家を建て、
人馬一体の生活をして育てていました。


仲の良い親子が一組いました。3月生れの「ヤヨイ」と母の「メイ」です。


まだ、おっぱいが必要なの。

馬でも双子が生まれることがあるのですが、母馬は2頭の子を育て
ることができず、弱い子の方は授乳を忘れられてしまうそうです。
昨年、この友人は双子の片方が抹殺されるのが辛くて両方を育て
ようと試みて自力で努力して研究した結果、成功したそうです。
彼のHPはここ
高草 操氏の写真展「遠野馬物語り」はここ


夏の間は山の上の方の放牧場で馬を放牧しているというので、案内してもらいました。


 牧場の中に入ったら乗用車はおいて、カミさんは軽トラックの
助手席に、私は荷台で。トラック荷台の幌の中から後ろを写しました。
 馬はあちこちに散らばっているのかと思ったら、全然見えません。


 ずっと奥の方に十数頭が集団で重なり合うように集まり、
渦巻きを作るかのように歩いていました。


彼は、家にいた馬以外に自分の馬3頭を含めこの地域の乗用馬生産
組合の人々の馬を夏の間預かり放牧管理しているのだそうです。


彼女らはその場をぐるぐる、ぐるぐる、ずっと歩き続けています。
暑い日中になぜ集団で歩き続けているのか不思議でした。
友人に聞くとそれはアブがいるせいだそうです。立ち止まったり、
集団から離れて日陰に逃げたりするとアブの集中攻撃を浴びて
しまいます。だから、一日中ずーっと集団から離れず、しっぽで
アブを追い払いながら日の当たる場所で歩き回っているのです。
これが結局馬の体力作りに役立っていると友人は言います。
特に、種付けの終わった馬には分娩に向けての体力づくりが
必要なのです。


陽が少し傾いて来て、やや気温が下がり、アブが少なくなった
のでしょうか、馬の動きがゆっくりになってきました。
ずーっと見ていた友人がやおら立ち上がり、馬に近づいて
行き、アブを払ってやっています。
アブが多いときは馬がアブを追い払うことで精一杯で
危ないので近寄らないのだそうです。


 ガスが遠くを通りはじめてまた少し気温が下がったようです。
 アブから開放されたように馬は散らばって草を食べ始めました。
 このような毎日で、馬の体力がついていくのですねえ。
 ここは標高約800mで、この暑い夏でも夜は15度ぐらいまで下
がるとのこと。彼の家からは400mも上がってきていたのです。


ふたたび家に戻るとまたまた犬が大歓迎してくれました。
4月に関東から私たちの同級生が連れて行き、新入りした
真っ黒いちびちゃん「チャキ」と、


大きい母親のような(ホントはおじさん)真っ黒い犬「サブ」がお食事中。

そのうち奥さんが帰宅して4人で特製の「どぶろく」をいただきながら
明日の「馬の里」の行事のことなどしばらく話をし、夕方5時を過ぎて
お別れし、遠野市中心街まで行き「えありあ遠野」で一泊しました。

「40年間一生懸命馬の勉強をしてきたけれど、 1000年の
命をもらっても馬のことは全部は分からないで終わるだろう」
と言った彼の言葉を思い出しています。


一泊二食付きの夕食ですが、ふだんはとても食べることのない、ぜいたくな夕食でした。


料理は素材の良さを引き出す味付けで、さっぱりしたわさび味の
地ビールも加えてとてもおいしくいただきました。


 8月12日、宮沢賢治関係は後に回し、奥さんの勤める「馬の里」の
行事を見学に行くことにしました。途中、ホップの畑を見つけ、高知の
人間としては珍しいので車を止めて写真を撮っていました。すると
脇で草刈りをしていた方が草刈り機のエンジンを止めて、話しかけ
てくれました。そして最後には一枝をすっと折ってみやげにと渡して
くれました。さすがに宮沢賢治のお国イーハトープだと感激でした。


「馬の里」の看板を見て入っていくと広大な敷地に厩舎がたくさん
並んで、大小の馬場があちこちにありました。


冬の凍結期を通して運動をさせるためのトンネルも設置されています。
坂道は凍結して馬でも怪我をしたりするのでそれを防ぐのだそうです。


大馬場のトラックの横には体育館のような覆馬場がありました。


競馬場と同じトラックがあり、内側は牧草地となっていました。


トラックの上段にはクラブハウスや流鏑馬コース、障害競技など
を練習する角馬場などの施設がありました。
その中でも屋根付きの短距離を計測するコースがあり、今日は
お盆で帰省する人達のために説明付きで実演が行われました。


すぐ目の前を全速力で走る迫力には度肝を抜かれました。
3回だけしかなかったのでそのスピードには慣れず、流し撮りをした
のですがシャッタータイミングがつかめず首が切れてしまいました。


続いては角馬場で行われた障害飛越競技の実演。


万年初級のうちのカミさんと、友人の奥さんは並んで仲良く見てい
ましたが、選手の方は観客が多いのでいつもの練習とは違うようです。


ポニーも参加して競技というよりは芸を披露していました。


花巻に行く時間が迫ってきたので、最後に見たのが流鏑馬でした。
これは実際に見たのは初めてで、なんとか撮影することができました。
脚とひざで身体を支えながら、瞬く間に近づいてくる的に向かって矢を
射るやいなや次の矢をつがえるのはたいへん難しいことだと感じました。


館長は初体験の乗馬でした。
昔は人間の労働を助け、今は人間の楽しみを一緒に創り出す役をこな
している馬たち。そして、その馬たちを育てる遠野の人々の一面を覗か
せてもらった旅でした。
このあとは花巻で宮沢賢治について見学しました。

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